経営&税務 トラブル対応事例

経営見落とされた外形標準課税の特例を発見!

2017年08月01日(火)

持株会社や資産管理会社などで、発行済株式総数の100分の50超を保有する子会社株式の帳簿価額が、総資産の100分の50を超える場合の特例

 

事業税における外形標準課税の取扱いに注意

事業税における外形標準課税制度は、資本金1億円超の会社に適用される制度です。

資本金1億円以下の会社については、その事業年度においてプラスの所得が生じなければ課税されることはありませんが、外形標準課税制度の適用法人は利益から計算した所得がマイナスの場合でも「付加価値割」や「資本割」といった課税標準に基づいて納税となる場合が多くあります。

 

資本金1億円超の会社ということはそれなりの規模があるということですが、規模の小さな会計事務所ではそもそも取扱い件数も少ないらしく、本制度で設けられた特例の適用が漏れていたり、付加価値割の課税標準が正しく集計されていない申告書が作成されているケースを時々見かけます。

 

他の会計事務所で作成された申告書

平成00年某月、ある製造業のお客様を他の会計事務所から引き継いだときのことです。いくつかの子会社を持ち、グループ全体での年商が10億円を超える中堅企業で、その中核となる会社の株式は、オーナーが保有する資産管理会社(持株会社)が90%以上を保有していました。

 

その資産管理会社の税務申告を依頼されて、過去の申告書を取り寄せてみたところ、資本金が1億円を超えていたため外形標準課税制度が適用されていることが分かりました。

 

通常ならば過去の申告内容を確認して内容に疑義がなければ今年度の申告業務に取り掛かるところですが、当該過年度申告書において「特定子会社の株式等にかかる控除額に関する明細書」が作成されていないことが当事務所のチェックですぐに判明しました。

 

見落とされた持株会社の特例措置

外形標準課税制度においては、課税標準の計算においていくつかの特例が認められています。

通常、資本割の計算における課税標準は、「資本金の額」と「資本積立金額」の合計で計算されますが、当該計算における特例のひとつとして、特定子会社の株式又は出資金に係る控除措置(特定持株会社に係る特例とも言う)と言うものがあります。

 

この制度は、持株会社を想定し、特定子会社(発行済株式総数の50%超を保有する子会社)の帳簿価額が総資産の50%を超える場合には資本割の課税標準を一定の計算に基づいて減額するものです。

 

結局、本件においては過去の申告について更正の請求を行い、数十万円の事業税の還付を受けることができましたが、もし誰も気がつかずに請求期限を過ぎてしまっていたら実にもったいない話ですよね。

 

特殊会社の特例措置

 

 

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経営

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