最初の事務所選びQ3.会計事務所との相性とは、どういうことですか?
A3.まずは、話しやすいこと。次に、基本的な価値観(たとえば善悪)が共有できる税理士であることが大事です。
さらに、尊敬できる、お互いに高めあえる、話していると楽しい、アイデアがわいてくるような人間関係が構築できる税理士であれば最高だと思います。
人として話しやすいか
まずは、人として話しやすいかどうかは大事ですよね!
いまどき“偉そうな先生”、“怖い先生”もあまり見かけない気もしますが・・・
少なくとも、経営者であるあなたが、『遠慮したり』『見栄を張る』ような関係では本当に必要な時に大事な相談ができないかもしれません。
仮に、顧問税理士が高い能力や価値ある経験を持っていたとしても、あなた自身が、自分の考え(希望)を伝えにくいような相手であれば、税理士の側も、正しい情報に基づきタイムリーに適切なアドバイスを行うことは難しいでしょう。
そんな関係であれば、報酬を払って依頼している意味がありませんね。
価値観の共有
次に、経営のパートナーとして一緒に考えていくためには、その前提として基礎的な価値観を共有できることが一番大事だと思います。あなた自身と『善悪の判断基準』を共有でき、あなたの『好き』『嫌い』(基本的には、ビジネスシーンのお話です(笑))が理解できるような相手かどうかということです。
これが共有できないと、税理士としてあなたに良かれと思って行うアドバイスが、逆の結果につながることになるかもしれません。最悪のケースを考えるとぞっとします。
“これは本当に大事“だと思いますよ。
例えば、税金に対する考え方
仮に、“あなたの会社が500万円の税金を払うことになった”場合、払う税金が同じでも、経営者の本音(建て前ではないですよ)は異なります。
「理屈抜きで税金を払うのは嫌だ」、「生理的に受け入れがたい」という経営者もいれば、「後ろめたいのは嫌だ」、「ドキドキするぐらいならしっかり納税したい」、「事業成長が第一。事業を伸ばすために必要なら税金は必要経費」と考える経営者もいます。
あなたはどのように考えていますか?
税理士にも、税金に対しいろんな価値観を持った税理士がいます。「納税を発生させないことが最高のサービス」という考えの税理士(脱線ですが、このようなタイプの税理士に、会社を伸ばすアドバイスはできません。税金が出ないことを“是”としているので、基本的に“赤字”を推奨します。でも、銀行からの融資調達の支援には“生きがい”を感じている方が多いように思います。)もいますし、「会社成長には納税が必要。どんどん納税しましょう!」と税務署よりも納税に積極的な税理士もいます。「帳簿記録に基づき税金を計算するだけ」というのに近い冷めた税理士もいます(笑)。
青山パートナーズでは、あなたが、同じ経済取引を行ったのであれば、そこから計算される「税金はルールの中でミニマムにする」ことは前提にしますが、「税金を抑えるためにビジネスを制約する」ような考え方は致しません。
事業が成長すれば利益が出ますし、利益が出ればやはり税金は発生します。むしろ、一度でも銀行から“事業融資”を受けたことがある方はご存じだと思いますが、正常な銀行取引のためには、“利益は必要”です。“利益があれば税金は発生”します。
ポイントは、「税金を払わないことではなく、事業を成長させること。その成長のために払う税金は、“ルールの中でミニマムにすること”、できればこれを計画的に行うこと」だと考えています。
また、青山パートナーズでは、ビジネスがあって、それを記録した会計があって、それを踏まえて税金を考えるという“ビジネスタックスアプローチ”という考え方を採っています。お客様からビジネスの相談がある場合、税金ありきで考えるのではなく、税金をビジネスリスクの中の一つと考えてアドバイスするという考え方です。
したがって、税金面でメリットが無くても、ビジネスでプラスになると思えば、その通りアドバイスするというのが基本的な税金に対する考え方です。
相性についてのまとめ
さて、“価値観の一致”についてお話してきましたが、もちろん、あなたと個々の事案の判断が一緒であるべきということを申し上げているわけではありません。むしろ、会計、税務、会社法、資本市場、IT等に関する知識や経験を踏まえ、あなたとは異なる視点から“気づき”を与えてくれるようなパートナーの方が、あなたの経営の参謀としてふさわしいでしょう。
さらに、尊敬できる、お互いに高めあえる、話していると楽しい、アイデアがわいてくるような人間関係が構築できる相手であれば最高だと思います。
当初は、記帳や税務の事務の「早い」「安い」のみを期待する方もいらっしゃると思いますが、“ピンチ”の時に会計事務所が頼りになる場面は数多くあると思います。
あなた自身が経営管理全般に充分な専門知識や経験をお持ちであったり、顧問税理士とは別に、専門家のアドバイザリーチームを持っているような場合を除けば、やはり顧問税理士は頼りになるビジネスパートナーとなるはずです。
紹介で知り合った税理士でも、一度業務が始まるとなかなか変更しづらいのも事実です。話がしづらいと感じたり、大事だと思う価値観がずれていると感じたら、躊躇(ちゅうちょ)なく別の税理士を探した方がいいと思います。
やはり「急がば回れ」です。
【初回面談で聞くべき会計事務所の選びの魔法の質問】
- 「事業活動を行う上で、税金はどのくらい払ったらよいと考えていますか。」
- 「“節税”は悪いことでしょうか。どのように考えたらよいですか。」
(税理士法人青山パートナーズ 統括代表社員・公認会計士・税理士 馳 雅樹)