最初の事務所選びQ5.経理処理や税金の申告の能力はどの事務所でも同じと考えてよいですか?
A5.同じなはずがありません!当然大きな差があります。
会計事務所選びで重要なポイントであるにも関わらず、外部からは分かりづらいため、“同じと仮定”され、結果として、軽視あるいは無視されてしまっているように思います。でも、推察する方法はあるので試してみて下さい。
専門実力能力には大きな差があります!
経理処理や税金の申告等の会計事務所としての専門実務能力には、大きな差があり、専門家としての会計事務所を選ぶ際にも、とても大事なポイントのはずですが、一般に事務所選びの際には、意外と無視あるいは軽視されているかもしれません。
その理由は、単純に、あなたも含め、外部の人間には、なかなか税理士の専門能力を“評価できない”あるいは“しづらい”からではないでしょうか。
でも、考えてみて下さい。
あなたは、本質的には、経理や税金に関するサービスを期待し、併せて(+αとして)コンサルティング的能力を期待して会計事務所を探しているはずです。
それなのに、「本業の部分の能力評価を放棄してしまって大丈夫ですか?」
あなたの会社で幹部社員を採用しようとする場合、どんなに人柄が良くても、期待する専門能力の評価は大事ですよね
会計・税務の専門能力を予想
ではどうしたらよいのでしょうか?
税理士比較サイトで検討するのはどうでしょう?
残念ながら、税理士比較サイトや紹介サイトでも専門能力を評価はでていないはずです。なぜなら、サイト運営者にその情報や能力もないし、一般にサイト運営の仕組み上も矛盾するので、料金を中心に比較するしかないわけです。
会計・税務の専門能力を予想する“ちょっとしたヒント”があります。
ストレートにHPに、価格よりも具体的な事案を伴って、専門性の高さを強くアピールしているところは検討できると思います。
また、あくまで個人的な独断と偏見ですが、以下のチェックポイントにすべてにあてはまる会計事務所であれば一定の専門能力を期待できるかなと思います。(なお、質問の中で、“複数”としているのは、“偶然一度”というのではない、という意味です。)
① 上場会社やその子会社の顧問契約が複数あるか
上場会社やそのグループの実務担当者は、ご自身で一定のスキルをお持ちなので、一般に、専門能力が低い会計事務所が継続的につきあうことは難しい。
② 設立3年以内の新設法人の割合が顧問先全体の1割以上を占めていないか
事務所の方針として“新設法人”に特化している場合、会計事務所の業務の中心として要求されることは、難易度の高いことよりも、簡単なことを早く大量にというポイントのみに絞られがち。
③ この1年間の間に法人税の申告で“税額控除”の申告実績が複数あるか
最近の“税額控除”の制度には、事業が伸びていれば適用できるものが多い。伸びている会社との付き合いが少なければ会計事務所のスキルも伸びない。伸びているお客様がいるのに適用実績がない場合、税理士が制度を知らずに適用を逃している場合も考えられる。大事なことは、規模が小さくても、若い会社でも適用できる制度があるということ。
④ 合併や分割などの企業再編に係る案件の申告実績が複数あるか
合併等の企業の再編が、特別扱いされた時代は既に“昔”。大会社でなくとも、事業成長や事業承継のために再編手法は気軽に適用されるし、そのメリットも多い。
⑤ 法人税の申告で“外国税額控除”の申告実績が複数あるか
成長する企業には海外との取引は自然なこと。海外に事業所を持たなくても、今や海外からの収入があるのは特別なことではない。その会計事務所のお客様にそのような事案が全くないのがむしろ特別なこと。
(税理士法人青山パートナーズ 統括代表社員・公認会計士・税理士 馳 雅樹)