損益計算書3-3 5つの利益
売上高の大きい会社は一般的に信用力が高いとされていますが、その会社が儲かっているか否かは売上からコストを差し引いた後の「利益」を見てみなければ分かりません。損益計算書においては、利益の計算を段階的に行うことにより、会社の儲けの仕組みが分かるような方法を採用しています。
1. 売上総利益(俗に言う「粗利」)
売上高-売上原価=売上総利益
売上を獲得するために直接要した費用を「売上原価」と言います。
売上原価には、物品販売業であれば商品仕入れにかかった金額、製造業であれば製品を製造するためにかかった材料費、人件費、外注費、経費などを集計した金額のうち、売上高に対応する金額を集計したものです。商品仕入や製造費用として支出したものでも、まだ売れていないものは在庫(たな卸資産)となるため売上原価には含まれません。
売上総利益が大きいほどその会社の商品やサービスの収益力が高いことを示しています。
2. 営業利益
売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益
商品やサービスを販売するために支出した費用(広告宣伝費や営業マンの人件費など)および会社組織を管理運営するためにかかった費用(役員報酬、本社の人件費、地代家賃など)をあわせて「販売費及び一般管理費」と言い、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた後に残った利益を「営業利益」と言います。
営業利益は、会社の主たる営業活動から生じた利益であり、営業活動の収益力を見る指標となります。
3. 経常利益
営業利益+営業外収益ー営業外費用=経常利益
主たる営業活動以外で経常的に生ずる収益を「営業外収益」と言います。営業外収益には、受取利息、受取配当金、仕入割引などが含まれます。
主たる営業活動以外で経常的に生ずる費用を「営業外費用」と言います。営業外費用には、支払利息、社債利息、創立費、開業費、株式交付費、売上割引などが含まれます。
経常利益は、会社の経常的な経営活動から生じた利益であり、経営活動の収益力を見る指標になります。
4. 税引前当期純利益
経常利益+特別利益ー特別損失=税引前当期純利益
会社の経営活動において臨時的または特別に発生した収益を「特別利益」と言います。特別利益には、固定資産売却益、投資有価証券売却益(経常的なものを除く)、組織再編によって生じた利益などが含まれます。
会社の経営活動において臨時的または特別に発生した損失を「特別損失」と言います。特別損失には。固定資産売却損、固定資産除却損、減損損失、投資有価証券売却損(経常的なものを除く)、災害による損失、組織再編によって生じた損失などが含まれます。
税引前当期純利益は、全ての事業活動から生じた税金費用控除前の利益です。
5. 当期純利益
税引前当期純利益ー税金費用=当期純利益
税引前当期純利益から控除する税金費用には、会社が獲得した利益(税務上の所得)を基礎として計算された「法人税住民税及び事業税」などの税金費用と税効果会計の適用によって計上される「法人税等調整額」が含まれます。
当期純利益は、会社利益(所得)にかかる税金費用を控除した後の利益であり、会社の1会計期間の活動の成果を示しています。